世・界・一・周旅日記

 ・5月27日(月) ビルバオ 1日目  バスクの文化に触れたいが・・

 面倒くさくてシャワーは浴びず。足の爪だけ切って9時前に宿を出る。ビルバオ行きのバス・チケットは10.55e。3時間位の距離だと大体10e位だ。バス停のカフェテリアで朝食。大用も足して万全。ただ、ここのバス停はどこから目的のバスが出るかわかりにくい。エスパニョールも迷ってたもんね。無事、バスに乗り込んだ後、既にガイドブックで次の目的地のことを考える。ちょいとバスク、ガリシア路線から外れてセゴヴィアかサラマンカかに寄ってみたい。ただ、このスペイン、ポルトガルの旅は尻が決まっている(7月5日まで)ので、あまり余裕が持てない。北部を先に廻ることにしたのは、そっちの方により興味があるから。こちらに時間がかかったら、南部はマキを入れて廻るという予定。ただ、ザッツ・エスパーニャのアンダルシアも、あまりカットはしたくない。てなわけで、結構キリキリ廻らねばならない。辛いどこですね。

 2時間程バスに揺られたところで停車。あれあれ、もうビルバオ到着か?早かったなあ。まずは次の行き先を決めるためのタイムテーブル・チェック。サンチャゴ行きは深夜1時45分発というのでパス。セゴヴィア行き直はなし。サラマンカ行きは朝3本あり。こりゃあサラマンカだな。こんな具合に旅程が決まっていく。セゴヴィアの巨大水道橋も見てはみたいんだけどねえ。バス停側に地下鉄駅あり。バルセロナ同様、料金は1e。サン・マメス駅より4駅先のカスコ・ヴィエホという駅へ。

 目指す宿はカテドラル側のはず。なぜかYHを掲載していないガイドブックで、一番安いと書いてあったセランテスというペンションへ。例によって英語は全く通じない。どうも部屋はないっぽいことを言っているが、シングルがないとかいう意なのか?英語の話せる人物が来るらしいので、待てと言われ待つ。で、結果、やっぱフルなのだった、もう。バカ荷物を持って再びエッチラオッチラ。ここらの路地はとてもわかりにくく、たかだか2,300mの距離のはずなのに迷いまくる。やっと着いた先が、また4階だか5階だか。メンデスというペンション、ガイドでは12〜18eとあるのに、シングル22e。高いよ〜!でも、もう荷物持って歩くのはご免。妥協せざるを得ず。ホント、このガイド捨てたくなってきたぞ。まあ値段なりにきれいな宿だけどねえ。何泊かと聞かれ、2日かな・・・と言ったところ、50e札出したら、しっかり2泊分取られてしもた。1泊にしておいて、明日宿替えすべきだったか、或いはビルバオを1日で切り上げるかとか、この後数時間悩むことになる。だって、でかいよぉ44e!

 とにかく腹を満たさねば。近くのバー、定食6.05eの表示。これですよ、私が求めていたものは。もう定食の注文の仕方もスッカリ馴れた。まずはプリメル、前菜的なメニューを選ぶ。アルカチョファス云々というのは、アンチョビかと思ったらアーティチョークのことで、ベーコンと共に煮込んだシチューだった。よしよし。ドリンクは赤ワイン。だって、ワイン付きって書いてあれば、それ選ぶでしょ?好きなだけ飲め!とばかりにボトルでドーンと出てくる太っ腹ぶり。次にセグンド、メインディッシュにあたるのは、ロモ、つまり豚肉を選ぶ。こちらは、まあ薄めのポークソテーというか。フレンチフライ添えだから、ちと安っぽく見えるが、まあ6eの定食だからね。更にポストレス、つまりデザート。フルタ、果物を所望し、ついついマンサナスに反応してしまったが、これはリンゴであります。アイスクリームやヨーグルトの方がよかったかな。そして最後はカフェ。ソロ、つまりエスプレッソを頼んで締め。いや〜満足。いつぞやバルセロナで食べた7eの定食のすごさには及ばないものの、久々にガツンと食べたという感じ。スペインの食事はランチが勝負どころであります!

 腹が膨らんだところで観光開始。宿を取ったビルバオ川の西側は旧市街で、カテドラルを始めとした古い建物がいくつかあり。ただ、ここのはそれ程大したもんじゃないなあ。ここビルバオはバスク地方の中心都市にあたる。バスクと言えば、自治独立を掲げたETAという組織によるテロで、時折、メディアを騒がせる。具体的にテロが起こっている地域がどこなのか、実はわかってない。ただ、ここビルバオは、近代的な都会で、ガイドブックによれば、“近年もテロは起きているが、旅行者には被害は及ばない”と書いてある。何が根拠なのかよくわかんないけど。まあでも、警官がやたら目立つわけでもないから、とりあえず問題はないんだろうと思う。

 一昨日、パンプローナで偶然バスク名物の素朴なスポーツをチラと見られたが、文化を始め、言語、音楽等に関してもバスク地方は、かなり独自のものを持っている。独立を訴える程の強い個性を持ったエリアではあるのだ。バスクに来た目的としては、やはり、その辺の、この地方独自の文化なりに触れてみたい。ただ、ここビルバオは、あまりにフツーの都会であり、見渡す限りバスクらしさというものは、あまり感じられない。バス停でもらったタウン誌にイベント予定等が載っていたが、来日経験もある、バスクを代表するミュージシャン、ケパ・フンケラのライヴが3週間程前にあったらしい。その頃はカイロだったもんなあ。バスク博物館みたいなのがあればいいのだけど、それは国が許さないのかも。ではこの町の最大の見物は何かと言えば、川を渡った新市街にドーンと聳えるグッゲンハイム美術館である。

 その美術館へ行く前に、旧市街の丘に登って行くケーブルカーがあったので乗る。相当な高さに登るが、しっかり住宅街なのであった。町が見渡せて楽しい。朝方は曇りがちだったが、どうにか晴れてきた。ただ風が強く体感温度は低めなので、久々にウインドブレーカーの出番。再びケーブルカーで降りて、橋を渡り美術館へ。この時点で、まだ明日以降の予定を迷っていたのだけど、アッサリ、ビルバオ2泊は確定。何せ美術館が今日はお休みだったから。見ないわけにはいかんでしょう、やはり。可能なら朝いちゲルニカに行ってくるってのもあり。あの、ピカソの絵で有名なとこですね。で、昼は、評判らしい美術館のレストランの定食を。まあ、高い宿2泊は止む無しか。もう払っちゃったしねえ。

   とりあえず美術館は写真だけ。中身も勿論だけど、この建物そのものも、この町の見物の一つだ。ぶっ飛んでるよねえ(左画像)。そこから南へ進んで行くともう一つ美術館。こっちも休みだけど。公園を抜けると、サグラド・コラソン広場。ここから出ているらしいツアー・バスに乗るのもいいね。てな具合に、本日は須らく明日のための下見状態であります。ま、しゃーないか。更に川沿いに進むとフットボール場があり、その側にデパートが、と思ったのは、幕張メッセみたいな展示場だった。すぐ横が朝着いたバス停と、ここで終点。どこかでCD等を物色したく、百貨店があるらしい新市街中心部に地下鉄で行く。バルセロナにもあったエル・コンテ・イングレスというデパートがあったが、CD売り場が見当たらない!8時近くなったので諦めたところ、デパートを出たら、そこはもう旧市街まで橋一本の距離。そこ近くのバス停からゲルニカ行きが出ているのであった。確認できたからいいでしょ。橋を渡って旧市街へ戻る。

 川沿いにテアトロ・アリアガという豪勢な劇場あり。よく見たら、今晩スペインのミュージシャンのコンサートあり。全く知らない人なので、しばし迷ったが、この際だから見ておくことに。9eの一番安い席を買う。開演は8時半とのこと。となると、もう時間がない。急ぎ宿に戻って荷物を起き、食事を取りに出る。偶然入ったのは、昼を食べた店だった。ビールと軽いつまみ2品食べて、慌てて劇場へ走る。

 普段はオペラだのバレエだのをやっている劇場らしい。豪華なバルコニー等もあるが、僕の席は何と6階にあたる最上階の一番上。でも舞台は充分見えるからよし。出演はイスマイル・セラノという人(右画像ポスターの人)。バスク出身ではないが、スペインのシンガー・ソングライターだそう。こういうところでやる位だから、そこそこ知られた人なのではないか。バンドはドラム、パーカッション、エレ・ベース、キーボードに、あれはフラメンコ・ギター?セラノ氏も例の小さいギターを弾く。キューバではクアトロって呼ばれているやつね。セラノ氏は太めの声で、でも割と爽やかに歌う。ラテン系の暑苦しさは感じられず、涼しげながらも、しっかり耳に残る音というか。語りの歌やMCが多いのだけど、多分、メッセージ系ではない。真摯ながらも堅苦しくない雰囲気だ。まあジェームス・テイラーとかに近い感じの内容なんじゃない?と勝手に推測する。

 ノリのいいサウンドって訳でもないけど、観衆は熱烈に声援を贈る。2時間超で終了。悪くなかった。CD買ってもいいかも。終わったところで、また一杯といきたいところだが、あれだけあったバル等が結構閉まっちゃってるではないの。月曜だから?地方だから?宿周辺に数軒開いてはいたが、閉店近しって感じで、ちと入りにくく、結局、寄らずに宿へ。小腹が空いてはいるが、早寝早起きでしのぐか。少し寒いのでシャワーは明朝に。ここらはコンビニのようなものもないんで、軽い食料等は買っておいた方がよいのかも。自前のワインを飲んで寝る。

本日の出費:朝食2.7e ビルバオ行きバス10.55e 昼食7e 夕食4.5e 宿代x2 44e! 地下鉄x2 2eコンサート・チケット9e 水0.75e 計83.18e


 ・5月28日(火) ビルバオ 2日目  至って真っ当なる美術巡り

本日の観光ポイント:ゲルニカ、グッゲンハイム美術館

 う〜ん、起きれない〜。何だか上の階の足音で目が覚めてしまって。で、8時半にやっとベッドから出てシャワー、洗濯、髭剃り。鉄道駅のカフェで朝食。カフェ、クロワッサン、オレンジジュース。遅くなりそうなのでサンドイッチを買っておく。てなことやっていて、ゲルニカ行きバスに乗りこんだのは10時過ぎでありました。少々山がちな風景を経て1時間弱で到着。

 ゲルニカ、あのピカソの絵の題材で知られる場所。第二次大戦に先立つスペイン内戦の際、ドイツ軍の空爆で1600人もの死者が出たとか。それに強い衝撃を受けたピカソが、反ファシズムの怒りを込めて描いた稀代の傑作、それが「ゲルニカ」であります。ただし、絵そのものはマドリッドの美術館にある。ここを訪れたのは、そんな背景がある因縁の町であると共に、バスク地方の精神的中心と言われるところだから。昨日も書いた通り、せっかくバスクを訪れたからには独自の文化に触れてみたいので。


 しかし着いたはいいが、ガイドには地図も何も載ってないので何がどこにあるかサッパリ。バス停で聞いたところ、ツーリスト・インフォメーションあり。地図をもらうも、肝心のゲルニカ博物館は来月まで休館中。じゃあまあ開いているところへってことで、バスク地方博物館へ。名前はそそられるものがあったが、バスク地方出身の画家の絵の展示が中心。4階にも及ぶ物量ながら入場無料てのは太っ腹だが、もっとこの地方の土着文化みたいな展示が見たかった。次はカサ・デ・ラス・フンタス、つまり市議会場であります。ここの見物は巨大なステンドグラス(右画像)。建物の裏にはバスク愛国者の象徴らしいゲルニカの木というのがあったが、枯れ気味でしょぼかった。そこから丘を登っていくと公園。ヘンリー・ムーアの彫刻が2体あり。でも落書きされてたぞ、いいのか?

 まあ至って真っ当な観光をしておりますが、何か今イチ足りませんねえ。丘を下りたところに、例のバスクのスポーツが行われる競技場があるというので期待したが、閉まってた。しょぼしょぼ歩いて行くと、おやおや「ゲルニカ」さんではないですか(左画像)。タイルで作られたコピー?でありました。まあ、ここの観光の締めにはちょうどよいでしょう。帰り際、小さな女の子に“チノ”とか言われてしまった。スペインでも、やっぱ田舎ではこういうのありか。帰りは電車で。料金はバスと同じ2e。スペインで鉄道乗るのは初めてなのでルンルン。何と車内には音楽が流れている。必ずしもバスクの音楽ってわけじゃないようだが、車内は空いているし風景も楽しめていい雰囲気。宿にも近いアチュリ駅が終点だった。

 2時に戻ったが、もう腹ペコなので美術館に行くまでもたない。で、近所を捜したら7eの定食の看板あり。バスク名物というので食べたかったバカラオ(鱈)のメニューもあったので、その店へ入る。ワインは白を。前菜のパスタ・サラダはマカロニ山盛り。で、バカラオなんだけど、トマトソース。味はまあまあってとこかなあ。デザートはヨーグルト、カフェ・ソロで締め。定食は必ずIVAなる税金が取られるらしいので、都合8.2eとなる。まあ腹いっぱい食べられればよいか。ポンポンになったところで宿に戻り、文字通りシエスタ・タイム。スペインに10日もいると、スタンスがジモティっぽくなってまいります。何せメシ食って昼酒食らったら昼寝だからねえ、楽チンでよろしい。どうせ周りの店とかも閉まっちゃうから休んでいた方が都合がいいのだ。

 4時半にようやく始動。ビルバオ観光のクライマックスであるグッゲンハイム美術館へ。念の為書くと、グッゲンハイムってのは出資者の名前で、膨大なコレクションを有し、同名の美術館はニューヨーク、ベルリン、ローマ、ラスヴェガス!にもあるそうな。それがここビルバオにもあるというのは、ほとんどピカソの「ゲルニカ」のために作られたようなものらしい。バスクとしてはマドリッドに返還を要請しているが未だ果たせず。その辺がまたETA(バスク自治独立を掲げるテロ組織)を刺激する一因にもなっているのかも知れない。ともあれ、昨日の画像のような建物でもわかる通り、ここのコレクションは専ら現代美術。抽象画、アヴァンギャルド、シュールレアリズム、キュービズム等々のものが中心。学割4.2eの入場料を払い、荷物は預けて、いざ見物をスタート。

 彫刻も多いので、かなり展示スペースは贅沢だ。1階が主に彫刻。2階は、これは特別展示なのか、“パリ、美の首都”のテーマで、ピカソらのパリ在住時代の作品が並ぶ。前記の通りの傾向故、ここでの見物はピカソ、ミロ、ダリ、カンディンスキー等である。まあ抽象画とかってパっと見のインパクトが勝負(なんて書いてしまっていいのやら)だから、一枚一枚の絵をそう時間かけては眺めない。従って量は多いけど、スムーズに進んでいく。それでも3階までのものを一通り見たら、やはり2時間半は要した。最後は映像作品。マン・レイらの実験的なフィルムが上映されていて、休みがてら、しばし眺めて見物を終了。まあ実に真っ当な観光をしてますね、今日は。

 ちょうど美術館を出たところで雨が降り出した。今日こそはCDチェックをしたくて、昨日も行った中心街へ出るが、降りが激しくなり、ひとまずカフェへ。久々に紅茶を飲むが、スペインではティーの方がカフェより高い上、パイみたいのを食べたら美術館の入場料よりも高くついてしまった。ケチりたかったが、ユニクロのボロ・サンダル、雨だと滑るし降りも強いので仕方なく地下鉄で戻る。今日は明日に備えて早く寝るべく、夕食は早めに済まさんとす。宿の隣のバル、ガイドでお薦めだったので行くが、書かれていた程にタパスはない。サンドイッチとクロケット位。やっぱりスペインの食事は昼がメインなんですねえ。それでも7eもかかってしまった。後でもっと安くてつまみが豊富な店を見つけたけど、後の祭。ネットカフェがあったので行くが、ソフトのインストールを拒否され万事休す。やはり早寝ですね。久々に日本茶を入れて飲む。明日移動予定のサラマンカは少し内陸なので、好天であることを祈る。

本日の出費:朝食2.7e ゲルニカ行きバス2e 帰りの電車2e サンド1.5e 昼食8.2e スプライト0.9e 美術館入場料4.2e お茶4.3 地下鉄1e 夕食7.04e 計33.84e
 ちょっと寄り道 サラマンカ へ

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