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世・界・一・周旅日記

 ・5月12日(日) カイロ 都合7日目  カイロは涼し?

 まあ、ウツラウツラしたり目が覚めたりの繰り返しのうち、6時半、ちょい早めにカイロに到着。再びスルタン・ホテルにチェックインだ。一番奥の部屋になったが、白人が一人、部屋中とっちらかして寝てる。僕も寝の体勢だが、またも蚊がうるさくて眠れない。日本から持ってきた蚊よけスプレー、早くも底を尽きつつある。まあこの後、蚊とかが不安なとこはメキシコ以降までないだろうけど。早いとこ、文明国のヨーロッパへ行くべし。

 昼頃起き出すと、同室者はフレンチ。まあ人のよさそうな輩ではある。いよいよどうにもならなくなったデイパック、新しいのを買うしかあるまい。更にスペインやポルトガルのLPも入手せねば。今日は、そう用足しの一日だな。ただ、この日までにカイロに戻って来たのは、せめて、もう一つコンサートが見たいため。先日も行ったゴムホレイヤ劇場で、アラブの古典音楽のコンサートがあるはず。で、まずはランチがてら劇場へ。前回も発券に多いに手間取ったが、何だかいちいちネットに接続してるようだけど、不調。当日券を夜買うことに。買えなかったりしたら泣くぞ。昼はまたしてもコシャリ。ここ、カイロさえ、あんまりよさそうな大衆食堂ってのがないんだよね。食の乏しさも、出エジプト願望に拍車をかける。

 歩いてカイロ・アメリカン大学へ。LPが入手できるらしいので。エジプトの面白くなさの一つに、女性の魅力が乏しいのもあげられる。ベール被りかデブかだもんね。しかし、ここアメ大は、おそらくエジプトで、最もイケてるエジプシャン・ガールを拝める場所。というか唯一の場所か?本屋を捜すのに苦労したが、あったあったLP各種。しかし、肝心のスペインがないんだな。ポルトガルと、“ラフ・ガイド”シリーズのスペインはあったが、これが高い。とてもじゃないが両替しないと買えません。てなわけで一旦去る。途中で露店の鞄屋あり。ほぼ似たようなモバイル・バッグを50EPで買う。結局、日本並の値段だよなあ。

 トーマスクックのオフィスでTC60ドル分両替。ドル・チェックがほぼ尽きつつあるけど、いいのかね?大学に戻って2冊のガイド買うが、6,000円近い出費。ハア〜、とため息。更に拍車をかけたのは、昨晩、そこでムハンマド・ムニールとハキームのコンサートがあったのを知ったこと。もーイヤ。暑いのも砂漠もウンザリなのでオアシス行きはやめ。ほぼ当初の予定通り、2ヶ月で中東の旅を終えることにする。決定。明日にでもバルセロナ行きフライトの予約をしよう。バルセロナは怖いけど、そろそろ去り時でしょう、中東。

 アレクサンドリア位は行こうかと思ったのだけど、ガイドを読む限りでは大した見所がない。おまけに宿代が高い。これ以上エジプトで金を使ってしまうのも何なので、金曜早朝、つまり木曜深夜のフライトで移動するとして、それまでカイロで、残りのピラミッドでも見てウダウダしたろうかと思う。一応、ヒルトンのベリー・ダンス・フェスティバルがいつからか位はチェックしてみよう。近所の場末のベリー・ダンスも見に行ってみたいけど。てなことを考えていたら、ネットへ行く時間がなくなる。急ぎ夕食。

 ホント、カイロって都会なのに食事処が乏しい。ファストフードかコシャリばっかだもんな。いつぞやバクシ狙いのおっさんに教えてもらったレストランへ。今晩は久々にチキンでもガツンと食おうと思って。しかし、炭火焼のチキンは、本当に単なる焼肉。アメリカのBBQの方がソースに力入れるだけマシ。ただの焼いた肉を老若男女がバリバリ食うばかりのエジプシャン、やっぱ野蛮人?ハーフでもかなりの量なので食べるのに手間取り、時間がなくなる。慌ててゴモホレイヤ劇場へ。

 一番安い10EPのチケットを買い、さあ入場と思ったら、入口で単パンを咎められる。別にモスクじゃないんだからいーでしょーが。アラブとはいえ、一応クラシック音楽なので、格式を重んじるらしい。どうせまたエジプシャン・タイムだろうとタカをくくっていたら、時間通りに始まったりする。しかも2階席まで結構入ってる。女性達はほぼベール被りで恰幅のいいおばちゃんたちばかり。演奏メンバーは指揮者を始め、27人の演奏者に40名のコーラス。演奏者の大半はバイオリンで、ウード、シターみたいなの、フルート、そしてパーカッションが3人。このチャカチャカ鳴らすパーカッシヴなのをバックにアラブ音階のメロディが奏でられる。

 こういうスタイルの演奏はいつ頃からあったのだろう。指揮者は燕尾服で、楽団員も黒の正装という西欧気取り。アラブの古典音楽のフォーマットをクラシック音楽にあてはめた感じ。でもこれは一度聴いてみたかったタイプの演奏だ。歌ものがメインであり、入れ替わり立ち替わり男女の歌手が登場して独唱する。前半3人、後半4人。隣の太ったおばちゃんに“歌詞わかんの?”って聞かれたけど、わかるわけないでしょ。いんですよ、音楽はサウンドで。ある程度は、だけど。

 1時間の演奏の後、休憩というパターン。割と短い曲が次々と演奏される。トルコにも似たような曲調のものはあって、そう大きな違いは感じられない。6人目位で出てきた女性歌手は声量、表現力共に豊かで聞き応えがあった。でも、よく見ると、ウード奏者は演奏途中でもチューニングに勤しんでいたり、コーラス陣はお喋りしていたり、なかなか力抜けた感じがエジプトっぽい。勿論、場内で携帯音も鳴るし。これはこれで面白い演奏なんだけど、どこか西洋に与してる?感じも。この点でやっぱりエジプトはインドには敵わないというか。あちらの古典音楽はまさに独自のスタイル押し通してるもんね。西洋音楽に逆に影響を与えてしまうパワーは、この音楽には欠けている気が。まあでも、やっと少しだけ“文化・芸能系”の面目を保てた感。

 宿に戻ったのは12時ちょい。同室のフレンチ、マカロナなぞ作って食べてる。僕は寝る前のシャイを入れる。フレンチ、悪い奴ではないが、他に客がいないのをいいことに、5つあるベッドのうち、3つを荷物置きに占領している。やっぱり、今でも世界の中心は自分たちだと思っている国の人?さて、残りのカイロの日々、タラタラ気楽に行くとしよう。

本日の出費:宿代8EP オレンジジュース1.25EP トレペ等2.85EP バッグ50EP コシャリ1.5EP シャイ0.5EP
ガイドブックx2 189EP ビール4.5EP コンサート・チケット10EP 夕食11EP 水1.5EP サトウキビジュース0.5EP 計280.6!!EP


 ・5月13日(月) カイロ 8日目  やるときゃやるじゃん、エジプシャンでも!

本日の観光ポイント:イスラミック・カイロ、シタデルのスーフィー・ダンス!

 まいった。か、痒い。痒くて眠れん。おまけにウルセー。フレンチが側の窓を開けているので、明け方の騒々しい音がまんま入ってくる。更に、隣室の白人は赤ん坊連れで、朝は泣きよる。眠れないよ〜。何より、やはり一番大きいのはベッドの虫。昨日の朝寝ていた時も感じたが、もう起きたら食われまくり。サファリの時よりも食われたぞ。たまらず部屋を移り、また寝る。どっかで防虫剤を入手しないとなあ。蚊除けスプレーもきらしちまったし。以前泊まっていた時と同じベッドで、昼まで寝てる羽目に。

 まあ今日も、勝負は夕方以降だからいいんだけど。もう昼食の時間だ。選択の余地が少ないカイロ、ついに屈辱的なるケンタでのランチ。チキンバーガーとポテトと飲み物で10.5EPは高いよなあ。早くうまい飯が食える国に行きたいってことで、イベリア航空オフィスへ行き、金曜のバルセロナ行きを予約せんとするが、ウエイティングになってしまった。結果がわかるのは明後日。大丈夫だと思いたいが、足止め食らったら悲しいなあ。トーマスクックに寄り40ドルTC両替。もうこれ以上エジプトに金を落としたくないのだ。そのままネットカフェへ。サイト更新とメルマガ送信で時間いっぱい。チェックせにゃならんサイトとかは色々あるのに。

 水を忘れたので一旦宿へ。出たのは3時過ぎだ。今日こそはシタデルでのスーフィー・ダンスを見ねば。ということで、今日はカイロ8日目にして、ようやくイスラミック・カイロ探索デーとなる。まずはアタバ広場近くの観光局へ寄り、今日、スーフィーダンスがあるか?何時からか?を確認。7時開始とのこと、よし。それまでの時間、イスラミック・カイロを徹底散策だ。アタバ広場からアズハル通りを歩き、アズハル地区へ。ここらはインドを彷彿させる混沌具合、汚さ、そして交通量の多さ。歩いていて楽しいところではないがしゃーない。

   以前スーフィー・ダンスの会場だったマドラサ・スルタン・ゴーリーは相変わらず修復中で入れない。ガーミア(モスク)・アズハル、ガーミア・フセインを少し覗いた後、北上。問屋街みたいなのを歩くうち、ガーミア・ハリーファ・イル・ハキームに到達。巨大なモスクだが、牢か何かに使われていたとかで、単にガランとしているだけ。入場料(学割3EP)を払って入る程のとこでもない。トイレを借りると、ジジイがバクシ待ち。0.5EPあったけど、勿体無いので0.1EPで済まそうとすると、ジジイ、さすがに怒った。しかし、普段は払わない便所バクシをやろうとしたのにドツかれたひにゃ、こっちだって怒る。ドツき返してやった。この辺、少しでも暴力を振るったら寝こみを襲われそうな、陰湿なインド人と違い、反撃のしようがあるからよい。まあ、暴力ふるうのは、いずれにせよいけないことですが。

 北端のフトゥーフ門を見た後、ハン・ハリーリーに向かって南下。しかし、メインの道がよくわからない。旧市街特有の迷路のようなわけわからなさ。ハマムもあるらしいんだけど。途中いくつかあるモスクは、改装中工事中みたいなとこが多くて、あまり見られるところはない。まあ外見さえ見れれば充分だけど。暑さのピークの時間といこともあって、モスク内で寝てる輩多し。ようやっとハン・ハリーリーの一角に来る。すぐさま土産物屋から声がかかるが何も買う気はないし、ちょっくら歩けば充分。大体イスラム系バザールって、何か店毎の個性に乏しくて面白くないんだよね。扱ってる品は皆同じもんばっかなんだもん。

 更に南下。ズウェーラ門を過ぎ、庶民的なスークへ。2週間位前に、全速力で通りぬけたエリアだ。暑いけど、日陰を求めてノンビリ歩けば、そう辛くはない。ここでもいくつかのモスクは工事中。途中のアフアでシャイを一杯飲むが、割とジモティ・エリアだというのに、しっかり1EPとぼられた。最近は、もう敢えて闘いましぇん。エジプト版ブルー・モスクってのに辿りつくが、イスタンブールの10分の1位のスケール。ここまで来れば、シタデルはもう少し。そこにあるガーミア・スルタン・ハサンとガーミア・リファイーは、ガッシリしていてなかなかの見物。

 更に東に位置するガーミア・アフマド・イブン・トゥールーンまで足を延ばす。しかし7時が近くなってきたので見物もそこそこにシタデルへ戻る。途中、せめてもの腹ごしらえにフルーツ・カクテル(エジプト版フルーツ・パフェのようなもの)を。今日もサトウキビジュースは飲んでるよ。さて、そっからシタデルの入口だけど、これが遠いの何の。ガーミア・モハメド・アリは聳えて見えているのに、一向にその近くへは辿りつけない。グルーっと回らされ1km以上歩いたとこで、やっと入口が。よく歩いたぞ〜、今日はまた。 さあ、いよいよスーフィー・ダンスだ。

 あのトルコでも見られた神秘教団スーフィーによる旋舞のエジプト版。モハメド・アリ内で無料で披露される。結局、曜日は月水金。開始時間は8時だった、もう。以前は水土だけで、大変混み合って早く行かねばならなかったそうだが、今は公演日も増えたので、席は余裕そうだ。時間まで、しばしシタデル内をうろつく。本来ここはいくばくかの入場料が必要なとこで、いくつかの博物館やモスクがある。この時間は他の場所は閉まっているので、妙に閑散としている。何だか、もう入っちゃいけないとかいうところが多く、仕方なく会場で、時間まで大人しく待つ。同時期にダハブから来たサファリ泊の3人と会う。まだカイロにいたんですねえ。サファリ・ペースだわ、やっぱ。


 8時5分過ぎ開演。席は見事、好位置をキープ。楽器を手にした白いガラベーヤのおっさんたちが登場。打楽器系6人、管楽器2人、弦楽器2人の系10人。数人がステージ中央に来てソロを取り、軽く踊って見せる。カスタネットみたいな鐘のおじさん、愛嬌があり、ポール牧の指パッチンみたいなポーズで、なかなか見せる(左画像)。この人達のパフォーマンスに始終するのかと思いきや、さにあらず。30分位の演奏の後、打楽器群がメンバー交代。

 
 そして、いよいよ踊り手たちが登場。カラフルなスカートのようなのを履いたおじさんを囲んで5人の踊り手が、その周囲を回る。そして、中央のメインのおじさんは、ひたすら回っている。トルコのセマーと違い、よりダイナミックで動きがある。次第に音楽が盛り上がる中、中央のおじさん、スカートの一枚を脱いで、回りながら頭上にかざす(右画像)。まるで、巨大ピザ生地作りのよう。なかなかにアクロバティックなのだ。30分以上回り続けてるぞ。セマーは、あれはあれで地味ながら荘厳な雰囲気がなかなかだったが、こちらはヴィジュアル的により派手に華麗に多いに見せる。こいつはすごいです。予想以上の迫力。

 これで終わるのかと思いきや、更に第3部。歌い手が登場し、歌にのって、カラフルな衣装の3人の踊り手が登場。更に華麗に舞う。再び、何重かに重ねられたスカートのようなのを脱いでいく。脱いでなんていうイヤラシそうだけど、しっかり服の上からつけてますんで、別に肌が露出するわけではありませぬ。言ってみれば人間コマ状態。色とりどりの衣装が美しく、動きも速く、バックの音楽も多いに盛り上がる。キノコのように3人のおじさんが舞う様は、ディズニーの「ファンタジア」の“くるみ割り人形”のパートを思い起こさせた(左画像)。更に更に、スカートをまわしながら寝そべったり。ここまでやるか、ここまで見せるかの大盤振舞い。タップリ1時間半。ワーオ、ブラボーだ。こんなすごいもんだとは思いもよらなかった。

   しかし、このバクシの国エジプトで、なぜ、これだけが無料なのか?終了後、踊り終わった人たちが客席へ来て“バクシ〜シ、バクシ〜シ”なんてやるんじゃないかと思ったが、アッサリと終わり。でも、この見事な芸になら20EP出したって惜しくないぞ。これだけのものが無料で見られるとは、おそらくエジプト最大の美徳と言っていい。今まで、セコイ金をさんざボラれてきたけど、これが見られるのなら全て許す。カイロ最大の見物はギザ・ピラでも、サッカーラでもなく、このスーフィー・ダンスだ!とさえ断言したい。

 僕が、その国の文化や芸能に触れることにこだわる理由に、その国への親しみが増すということに加え、更に、その国への畏敬の念を持つことができるという点が挙げられる。さんざ腹が立った、あのインドでさえ、やっぱり、音楽が素晴らしい、映画が面白い、そして食べ物がおいしいということで、やはり、その魅力の程を認めざるを得ないというところがあった。エジプトに関しては、今までのところ、そういう魅力が感じられなかったのだ。となると、エジプシャンってのは、単にお調子者で、頭の悪い人たちばっかで、しょーもない後進国の一つにしか思えない。ところが、こういう見事な芸を見せられた後には、エジプシャンへ注ぐ視線も自ずと違ってくる。やるじゃねーか、エジプシャンだって!初めてこの国に敬意を払えるという感じがしてきた。もし、フライトの予約ができたとしても、まだ水曜日がある。音を録音するために、もう1回見に来るかも。その位の価値はあるぞ。まあでも、これを見るのは基本中の基本。何度も引き合いに出して悪いけど、何にもしないサファリ・ホテルの住人さんたちでさえ見てるんだから。“文化・芸能系”としては、更にこれプラス何かを見たかったなあ、最早遅いんだけど。でもこれを見たことで、心置きなくエジプトを去れるか。

 サファリの人達とタクシーをシェアして帰る。コシャリ屋へ寄るが、僕は持ち帰りにしてビール買って部屋へ。ダンスの会場、やたらホコリっぽかったので、シャワーを浴びてサッパリして。部屋は僕一人、今日は満足してグッスリ眠れそうだ。

本日の出費:オレンジジュース1.5EP サトウキビジュース0.5EP 昼食10.5EP ネット4EP シャイ1EP マウンテンデュー1.5EP モスク入場料3EP タクシー1.25EP コシャリ1.5EP ビール9EP 計33.75EP
はよ出たいけど カイロ も少し

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