露・土・印 旅日記
・12月8日(土) ムンバイ 1日目 1ヶ月ぶり振り出しに戻る
囚人護送団はムンバイ手前で去っていった。時刻は8時近くだが、到着は1時間近く遅れているらしい。イスラエル人パッカーによれば、列車はムンバイ・セントラルではなく、ヴィクトリア・ターミナスの方に着くとか。休養充分な彼は、駅に着いたら荷物を置いて、まずはドビー・ガートを見に行くんだと張りきってる。この辺はスラムかい?とか、向かいのインド人に聞いたりして、それはヤバイいんじゃ?物乞い子供が乗りこんできたら、“チェロ!”と一喝。怖れをなして子供は去って行く。この辺のドライさ加減は、ほとんど白人と変わらない感じ。因みに“チェロ”は、ゴー・アウエイの意味だそうだから、早速使わせてもらうことにしよう。
成程、ヴィクトリアの方に着いた。約1ヶ月ぶりで出発地に戻ってきたわけだ。前回ボンベイと表記していたのだけど、都市名変更の流れに沿って、今回はムンバイと表記します。別のとこに来たわけじゃないけど、別の町みたいでいいでしょ?さて、ムンバイはリクシャではなくタクシーの町。早速宿へ向かおうと、拾おうとするが、どれもメーターではなく、50Rsとかぬかす。だったらと意地になり、バスで行ってやることにする。しかし、公園から駅へ向かうバスはわかるのだけど、逆はどこで乗ればいいのかわかりにくい。まあ大体皆真っ直ぐ行くんだろうと適当なバスに乗りこむ。シティバンクあたりまでは行ったが、そこから進路変更。変なとこへ行ってはヤバイと降りる。しかし、そっからは遠かったね。2km位はあったか。こんなに歩いたのは初めてかも。やっとカールトン・ホテルに到着、前回と同じ部屋にチェックインし、早速寝る。
ここは静かなのが取柄なのだけど、どうやら今回隣はインド人。なぜってテレビ、バンバンつけてるから。ここもインド人に侵攻されてしまったか。ホント、インド人が一切いない宿に泊まりたい。1時過ぎに起きて昼食。近くの食堂でベジ・ビルヤニ。まずは資金確保が肝心。歩いてシティバンクへ。降ろせる限度額は1万5千Rsだったので、また降ろしに来なくては。フィルムシティ行きのツアーなぞはないかと代理店を捜すが、土曜につき休み。ラージャスタン州物産店ってのを捜すが、これも見当たらない。とりあえず、CD屋リズム・ハウスに寄って、ラージャスタンの音楽テープ買う。まだ体調は今イチで、ずっと歩いているとシンドイ。お気に入りの、ジェンギール美術館のカフェでスイカ・ジュース飲んで一休み。トイレットペーパーと、衝動買いでコンパチ・パンツ200Rs也を買って帰る。
日記書き。部屋のテレビは相変わらず白黒である。まだまだ眠たくて少し横になった後、ようやく8時頃夕食に出る。インドのカレー、はずれがほとんどなかったのだが、初めてはずれの店が。ネットカフェ近くの食堂、白人が多い店はうまくないの定説(?)通り、安いがうまくない。パニア・マサラというのを頼んだのだが、味がしないのだ。一食損してしまった。ネットカフェへ。たまりたまった画像ファイルを一気に転送。2回程途切れはあったが無事終了。しかし、2点程忘れていて、完璧な更新には至らず。エアコンが効いていて寒い。咳、鼻水はまだ収まりそうもない。体力の回復を待ってから出発ってことになると、またムンバイにしばし滞在か。宿代が高くつくのがねえ。買ってきたテープを聴くが、1本はなかなかよいが、もう1本は、ありがちなキンキン声女性ヴォーカルのものでつまらない。ホント、インドではキンキン声でないと、女性は歌手になれんのか?インドのポップに今イチ魅力を感じないのは、この金太郎子飴みたいな似たり寄ったりの女性ヴォーカルのせいである。てなとこで、まだ10時だけど、もう眠い。アルコール解禁はいつの日か?
本日の出費:バス3Rs 宿代400Rs 昼食37Rs コンパチ・パンツ200Rs トレペ36Rs
カセットx2 107Rs スイカジュース35Rs 夕食37Rs ネット30Rs 計855Rs

・12月9日(日) ムンバイ 2日目 映画+コンサート、まあ文化の日かな
隣室のテレビも早めに収まり、そこそこ寝られたよう。起きあがったのは9時過ぎ。ここはちと高いけど眠れるという点では、インドでも貴重な宿だ。まずは新聞を買わねば。途中で朝食用の果物も。キーウイ、バナナにゴアとかいうやつ等55Rsも買ってしまった。宿のテラスで新聞をチェックしつつ、果物の朝食。前回、古典音楽コンサートを見たネルー・センターで、また今日、古典音楽の催しがあるらしい。しかし、肝心の体調の方が今イチ思わしくない。咳、鼻水は相変わらずだが、今朝は頭痛がする。ホント、日本の風邪薬って悲しい位効かないね(因みに葛根湯)。一箱全部飲みきったって効きそうにない。まあとにかく映画は観に行こう。荷物整理をした後、昼前に出る。
チャーチゲイト駅近くのエロスという劇場へ。前回ギリギリに行って満席だったので、今日は1時間前に行く。一番安い26Rsの席をゲット。昼飯処を捜す。海
沿いのキレイめの店でチキン・カレーにロティ。肉を食べるの久しぶり。ヴェジものの方が安いから、カレーもひたすら野菜系だったのだ。しかし昨晩に続き、ここのカレーも今イチ。汁系で、ロティよりはライスの方がふさわしかったし。ともあれ、チャイ飲んで、いざ劇場へ。
映画はアーミール・カーン製作・主演の大作「ラガーン」(左画像)。今年2番目の大ヒット作で、既に公開25週目。アカデミー外国語映画賞のインド・オフィシャル候補作品でもあるそうな。オープニング・タイトルは英語だが、中身はしっかりヒンディ語で、イギリス軍人たちが出てくるので、時折英語セリフも。時は19世紀末、イギリス統治可のインド砂漠地帯(ラージャスタン?)。「ラガーン」とは税金のような意味らしく、村人達は英国より課せられる重税に苦しんでいた。そこで村人揃って負担の軽減を談判に行くが、英軍側は、クリケットの試合をやって、もし村人チームが勝ったら税金をまけてやると提案する(以上、字幕はないけど大体わかった)。というとこまでが前半、タップリ2時間近く。「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・インディア」なる副題もあるから、重厚な歴史大作なのかと思いきや、インド映画には欠かせないミュージカル場面もしっかり3つあった。
で、後半なんだけど、どうやら、そのクリケットの試合がクライマックスになるよう。カーン演じる主人公ブーワンに思いを寄せるイギリス女性が、クリケットのルールを手ほどきして、村人達は馴れない競技に精を出す。いよいよ試合となるのだが、後はもうスポーツ映画にありがちな展開であります。村人チームの面々がそれぞれ個性的で、「メジャー・リーグ」あたりを彷彿させる痛快なスポーツ映画にはなっている。ただし、欧米の映画なら1時間半でやる内容を、延々4時間近くかけてやるんだけど。皮肉な事に、今やこのクリケットはインドの国民的スポーツになっている。しかし、このチマチマした球技が盛んな国ってインドとイギリスだけなんじゃないかね?野球の元になったスポーツではあるのだろうけど。
まあイギリスにとっても国の誇りとも言える競技を通じて、圧政下のインド民衆が抵抗を示すところが映画のミソだ。この映画に描かれるインド人たちは、なかなかに愛らしい。試合当日は山のような見物人が押し寄せて英軍を呆れさせ、打者を一人打ち取る毎に勝ったような大騒ぎをする。ミュージカル場面で、町のそこらにもいそうな、いかついヒゲ男がニカニカしながらバックで踊ってるのも笑える。カーンは、イギリス娘に惚れられるのだけど、やはりインド娘を選び、白人を振ってしまうのだから、インド人も見ていて色々痛快だろう。しかしなあ、アカデミーって映画じゃないよなあ。欧米人は、何でいきなり歌と踊りになるの?って思うだろうし。時間を2時間位に縮めれば、日本でもマサラ・スポーツ映画とかいって売れるんでは?カットするなら、どの辺かな?とか、最後の方はそんなことを考えながら観ていた。いやー、約4時間、疲れやした。
さて、コンサートをどうしたものか。まだ頭痛はするけど、明日寝てればいいやってことで、列車に乗り、マハラクシミ駅へ。前回はタクシー使ったけど、バスで行けるんじゃないかなと思っていたら、目の前にネルー・プラネタリウム行きバスが停車。154番のバスで5つ目の停車場が、件の場所だった。演目はヒンディスタン・クラシカル・ヴォーカル・コンサート。ミュージック・アカデミーというとこの先生らしい、A・V・シェノイという人の公演。前回のきれいなホールではなく、本当のプラネタリウムの地下の部屋でやるらしい。何と入場無料。でも、客いないなあ。純粋な観客は僕を入れても10人ちょい。30分位遅れての開演。“インドは時間の流れが違う”ってこれか?
演奏メンバーはシェノイ先生を中心に、左からタブラ、シタール二人にハーモニウムの5人(右画像)。シタールは、シンセみたいにバックグラウンド的に使われるケースも多いみたい。そして今晩の主役は歌であります。先生のお声、特に美声というわけでもなく、朗々たる声量があるわけでもない。低めの声で、まあフツーにというか、お経っぽく歌う。もっとも、お経と違って表情は豊か。手を様々にかざしながら、メッセージを伝えるかのように歌う。まわりの演奏者も楽しそうなのが好感。演奏が興に乗ってくると、最前列に陣取るお弟子さん?方が、応えるかのように手をかざす。1曲20分位の演奏で、約2時間。まあそこそこ楽しめた。
終演8時半と早かったので、まだ電車、バスで帰れる。どのバスだかわからず、しばし往生したが、横にいた兄ちゃんに聞いて、どうにかわかった。しかし、インドの電車はチェックが甘いどころか、全くノー・チェック。切符切り位やれよな。一昨日の映画館もそうだったけど、列車内、ネズミがチョロチョロ走りまわっていた。インド、おいそれと床に寝たりすると、ネズミに噛まれてペストかなんかになりそう。ともあれ、交通費も含め16Rsの出費でコンサートが楽しめたわけだ。映画も含めれば、本日はわずか41Rs(約103円)で6時間もつぶせた、もとい、文化的なる時間を過ごせた?わけだ、あなウレシ。
駅から歩き、10時頃ようやく夕食にありつく。ヴェジ・ジャイプリなるものにライスを頼む。これは味まずまず。しかし、トロトロ系のカレーで、どちらかというとロティ向きだった。この辺が難しいとこですな。宿に戻ると、隣室はインド人が出て、どうやら日本人カップル。なんでカップルなのかね?一人で旅しろって。まあいいか。ともかく、ムンバイではもう2本はインド映画を観ようと思う。半日がかりだから疲れるんだけどもね。
本日の出費:宿代400Rs 果物55Rs 新聞x2 10Rs 昼食71Rs 水6Rs 映画26Rs
チャイ5Rs 電車x2 8Rs バスx2 8Rs 夕食47Rs 計636Rs

・12月10日(月) ムンバイ 3日目 インド映画は体力勝負
何となく目が冴えて寝つけなかった。で、9時過ぎまで寝ていた。起きて、まずはシャワー。体の温かいうちに浴びないと。髭剃って爪も切る。更に、スキを見計らってシャワー室のバケツをいただいてきて、しこたま洗濯。洗剤につけてる間に、昨日買ったパパイヤをベランダで食べる。買いに行こうと思っていた新聞タイムス・オブ・インディアが置いてあったので、これ幸いに読む。どうも14日以降、ムンバイではコンサート・ラッシュ。何と、あのラヴィ・シャンカールも久々に公演するとか。おいおい、来週までなんて、いくら何でもいらんないぞ、ここにゃあ。もう少し宿代が安ければねえ。ま、諦めるよりないか。まあ芸能・文化系の僕としては、一応、古典音楽等のコンサートを追ってはいるのだけど、すごく魅かれるものがあるかっていうと、実はそれ程でもないんだよね、今んとこ。ところで、シャンカールといえば、彼にシタールを習ったジョージ・ハリスン。インドの新聞の論調では、彼はインドの音楽及び精神を西洋にも広めた人物として評価され、その死が惜しまれているようだ。ま、そうだよね。今に至るインド・フォロワーを数多生み、僕が今いちピンときてない点、つまり、インドを“特別な国”の地位に祭り上げたのは、やっぱりビートルズ、特に一番ハマッていたジョージの功績が大。好意的な論調もむべなるかな。もう一つ注目の記事は、サタジット・レイ監督作品を多く手がけたカメラマンの死亡記事。やはり、レイの評価はインド本国でも高いらしい。でも、現状のインド映画界にアート・フィルムの存在する余地はあるのかな?そういう映画、全然見かけないぞ。
さて、そんなわけで今日も映画であります。今日はシャア・ルク・カーン主演の「アショカ」を観に行く。メトロ・シネマはちと離れているが、どうにか徒歩圏内。昼のみの上映で、チケットは50Rsのものしかなかった。2時からかと思って行ったら3時から。仕方なく来た道を戻り、昨日「ラガーン」を観たエロス・シアター横のシティバンクのATMで出金。一応、インドであと1ヶ月はもつはずの金額を。劇場周辺にはいい食堂が見当たらなかったが、チャーチゲイト駅の裏の方に庶民的な店が。ターリーとチャイで23Rsで済んだ。腹ごなしには充分な程歩いて、頃はよし。
「アショカ」は、紀元前にインド統一を成し遂げたアショカ王を描いた映画。これも結構ロングラン中。3時間が定番のインド映画なら、アショカ王の生涯をタップリ時間かけて描けそうだが、生憎、描かれているのは、ほんの数年間だけ。トップスターのカーンがアショカを演じるわけだから、これまた重厚な歴史大作を期待させるのだが、そこはやっぱりインド映画。あまりにもトートツにセクシー系お姉さんが歌い踊る場面と相成る。前半でミュージカル場面3つというのは、インド娯楽映画のお約束事のようであります。その前半は、そのセクシーお姉さんとアショカとの出会いと恋に時間を割く。ああこれはアショカ王のロマンスに焦点をあわせた映画なわけねと思っていると・・・
後半は一転、かなりシリアスな展開になる。自らの不在中に恋人を奪われ、母を殺されたアショカは復讐の鬼と化し、以後は容赦なく各地を征服。唯一残った現オリッサ州も手中に収め、とうとうインド全土を配下に収める。しかし、死んだと思っていた恋人は、統一に抵抗する反乱軍に身を投じていた、かつての恋人がアショカ王とは知らずに。で、二人は戦場で再会するという展開。悪役演技も嫌いではないらしいカーンが、後半は非情の権力者として殺戮を繰り返す。しかし恋人と再会し、それまでの血で血を洗う日々を悔やみ、後年は仏教の布教に尽くすようになるといった内容。従って、後半はもっぱら戦闘シーンで、カーンもすごんだ表情のままで改心後の事はナレーションで語られるのみなので、映画の後味そのものはあまりよくない。
でもなあ、この後半のシリアスさからすると、あの前半のセクシー・ダンスは明らかに浮き気味。何とか、歌や踊りを入れないで作れないもんですかね?今思えば、サタジット・レイのシリアスな映画にさえ、歌と踊りの場面はあった気がするので、これは致し方ないことなのかな。イヤ〜しかし、体調がまだ今イチなので、休養の意味合いでの映画鑑賞だったのだけど、インドの映画はむしろ観ていて疲れちゃいますね。おまけにインドのエアコンが効いているとこは須らく寒い位なので、かえって体には良くない気が。終わった時には夜だからね、今日はこれで1日終わり(笑)。インド映画鑑賞は半日がかりであります。シャア・ルク・カーンといえば、彼の他にも豪華キャストが共演する新作が今週まもなく公開。「カビ・クシ・カビ・ガム」?なる家族愛を描いたドラマのようで、公開前からかなりの話題。既にサントラはチャートの1位。インドのお正月映画といったところでせうか。
部屋に戻る途中の、タジ・マハル・ホテル裏周辺は歩いているとウンザリくる。マリワナ売りは最低でも3人位は声をかけてくるし、物乞い子供も多数。加えて、太鼓とかでかい風船とか訳のわからないものを売ってる物売りもウジャウジャ。いつもなら何てことないのだが、まだ頭痛がするのでウザイことこの上ない。しつこいマリワナ野郎には思わずキレテしまった。でもその後に初めてジキジキ(エッチ系)お誘いがあったりして苦笑。部屋で擦った生姜入り日本茶を飲んで一休みした後、デナー。ビール復活といきたいが、体調も何だけど、何より涼しくてその気になれない。インドも冬なんすねえ。ここらはどうもいい食事処がないなあと思っていたが、白人ご用達のレオポルド・カフェ向かいのオリンピア・コーヒーハウスという店、肉料理も含めて30Rs以下の激安価格。ヴェジ・フライにチャパティ2枚で、わずか14Rs!味はまあそれなりだが、この安さなら、これから毎食この店でいいやって感じ。よしよし。
さて、今日も結局フィルム・シティには電話できなかったので、列車の切符も買わず。体調の問題もあるのだけど、このままムンバイにいると所持金が減っていくばかり。もう1本位映画観たら、そろそろ見切りをつけて移動せんことにゃ。とりあえず、明日は滞在。明後日移動なるかな?
本日の出費:宿代400Rs 昼食23Rs 水6Rs 映画50Rs 夕食29Rs 計523Rs
→切り上げにゃあなあと思ってはいるのだけど、引き続き ムンバイ
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