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露・土・印 旅日記

 ・8月16日(木) イルクーツク→モスクワ移動 シベリア鉄道 1日目 危機一髪!!イルクーツク脱出

 朝食を取りに行くと、新たなるゲストが。昨晩、スティーヴとパブの話なぞしたばかりだったが、新顔のカールはアイリッシュだった。話は盛りあがるが、ロンドン訛りとアイルランド訛の会話ではこちらはサッパリだ。やたら多い荷物をまとめるのに手間取り、外出したのは10時半頃。今日はモスクワへ向けての出発日なので、行動には慎重を期する。まずは川沿いの大きな銀行へ、またもTCを持っていくが、トマス・クック、アメックス、ヴィザはOKでも、シティコープはダメ。使えねーよ、これ。でも、ポンド・チェックはヴィザなので、出直して再度トライしてみることにする。ネット・カフェへ行くという二人と12時半に約束し、僕は宿へ戻る。宿のリダさんも今日からどこかへ行くらしく、清算を済ませる。初日の朝食代は言われなかったのでとぼけてしまった。

 列車内用の食料を買い込んだ後、再び外出。しかしもう一度銀行まで行ってたら、約束の時間には間に合いそうもない。運良く駅前で二人と会い、悪いけどしばし待っててもおらうことにして、再び銀行へ。しかし、案の定、ポンド・チェックはバツ。もうここでの両替は諦めるよりない。駅へ戻るが、駅のレストランなぜかクローズ。僕は2時15分にタクシーが来るし、カールは2時にバイカル湖ツアーの迎えが来るので、時間がほとんどない。仕方なく近くのカフェで、3人で軽食。カフェのブロンドのお姉さん、腰の部分に穴の開いた黒いドレスを着ている。何で、安食堂の姉さんがこんなパーチーにでも出そうな衣装なワケ?慌しく二人と別れ駅へ。スティーヴは本当に気のいいやつだった。

 例によって、駅の掲示板よくわかんないが、ここも到着間際までホームが決まらない仕組らしい。よく見ると、一番端っこは遅れ時間の表示。既に1時間半遅れの表示、ヤレヤレ。更に延びて2時間。それでもようやく時間が近づいてきたところで、何と、ガガ〜ン、鬼より怖い警官登場!結局、イルクーツクでは滞在登録はしてないので、それが引っかかったか、今から署に来い、と言い出す。冗談じゃねえ、今から尋問なんかされたら、思いっきり列車乗り逃がすじゃないか!半ば、チケットが無駄になる悪夢を思い浮かべつつも、“列車に乗らなくちゃならない”、“領事館に電話”、“イズビニーチェ(すみません)”等を繰り返しつつ、低姿勢ながらも頑として動かず。すると、やった!警官諦めて去っていくではないか!冷静そうに装ってはいたが、実は手が震え気味だった。ウ〜ン、反抗的な態度はやばいだろうが、やはり、ある程度の抵抗ってのは必要なのかも知れない。諦めて去って行く位だから、署に連行する根拠は薄弱なものだったのだろう。フヒ〜、まいった!

 また警官戻って来ぬかとビクビクしつ、尚も電車は到着せず。2時間10分程遅れでようやくホーム決定。勇んで行くが、ゲゲ、さっきの警官がホームにやってくるではないか!よりによって僕の乗る車両のあたりにいる。乗り込む直前に止めようってのかぁ?もう、こうなったらスキを見てすばやく乗り込むしかない。乗っちまえば、こっちのもんだ。5番車両に向って走る!息も絶え絶えに辿りつくと、割とかわいい女性車掌さん、この期に及んでパスポートを見せろとな。しかし、ともかくも警官たちの姿は見えなくなり、列車に乗りこんだ。案内された部屋は、母娘?らしき二人で安心そう。ベッドは上段で、どでかい荷物をベッドの上の荷物置きへどうにか運び上げる。ブハ〜、疲れた、ドッと汗かいた。何たる、緊張の瞬間。何もこんなに試練を与えてくれんでもよいのではと思うが、どうにかこうにか危機を免れた。列車がゆっくり動き出し、モスクワへ向けて出発。二度と来るもんかい、むかつくイルクーツク!!

 もう一人同室のおじさんが現れる。この人がパパかいな?腹が減ったので、カップラーメンを食べようとすると、おっさんがテーブルで食えよと言ってくれる。ここでコミュニケーションの始まり。お嬢ちゃんは少し英語が話せ、彼女を中心に色々話す。すると、ここの3人、要は他人。ウラジオから乗って3日目を迎えて、すっかりお友達状態らしい。パパかと思って“50歳?”なんて言ったら嘆いていたヴィクトールは、実は35歳。僕とあまりかわらないけど、どう見てもオヤジ臭い。ブルース・ウイリスに似てないこともない(頭だけ?)、モスクワ在住の人。お嬢ちゃんかと思われたステラは、実は25歳(右画像)。ロシア女性にしては珍しい小ささだが、よく見ると、部分的にはよく発育している。ウラジオ在住だが、仕事を辞め自由を求めて?モスクワの友人を訪ねるそうだ。もう一人のおばさんタチアナは、エカテリンブルグへ。まあ悪い人達では無さそうで一安心。何せ、今度のは3泊4日と長いからね。

 乗って3日目ということは、かなり退屈をおぼえてくる頃。そこへ、見知らぬ日本人が現れたから、彼ら、とりわけ若いステラには、恰好の暇つぶしの相手となる。拙い英語で矢継ぎ早に質問してきて、一向にほっておいてくれない。“なぜ結婚しないのか?”、“何々は日本でいくらするか?”、“ロシアの文学を知ってるか”等々、少しでも黙っているものなら、“なぜ喋らない?”とくる。ステラ嬢、チビで幼い割に、ルースカヤらしく衣装は妙に露出度高く、谷間やら、太ももやらパンツやら見えまくる。見えてもあまり気にしてる様子はなく、天真爛漫っつうかなんつうか。しかし、こちらの精神衛生上には大変よろしくない。露出度高いと言えば、隣の部屋のお姉さんがこれまたツワモノ。こっちはかなり長身で、いつも下着同然のカッコでプラプラ歩き、時折、“ウッヒャッヒャッヒャ”とバカ笑いする。ウ〜ン、何だか面白い旅路にはなりそうではある。昼の気疲れのためか、よからぬ想像をすることもなく大人しくトットと寝る。
 
本日の出費:宿代2612R タクシー50R 昼食43R 市電8R リンゴx4 44R ヨーグルトX2 25R 
チーズX2 55R 水8.5R パン12R シーツ20R 計2922.5R



 ・8月17日(金) →モスクワ移動 シベリア鉄道 2日目 イケイケ娘の婿になる!?

 昨夜、寝ながら考えた末、一つの結論が。それは、モスクワを最後にロシアは出ようということ。そも、最早、モスクワも観光しようって気は失せている。またウロウロいていれば警官がやってくるんだろうし。治安が悪いならとのかく、国家権力が信用出来ないというのは、もっとも始末が悪い。こんなビクビクして日陰者気分を味わうような国は、とっとと去るに限る。問題は、いかに無事脱出するかだ。税関申告書やら何やらで、出国時にまた色々イチャモンをつけてくる可能性は大きい。その辺を何とかスムーズに切りぬける手はないか。モスクワのホテル・エルモスで、その辺について相談が出来る人物がいてくれればよいが。脱出先だが、鉄道か飛行機か脱出が容易な方を選ぶ。鉄道でヘルシンキへ行き、ポンド・チェックを両替するのもよいだろう。エストニアやウクライナがアブナイってんなら、いっそ、東欧はすっとばして一気にトルコヘ飛ぶというのも手だ。料金との相談ではあるけど、このままでは旅は続けられそうにない。どこか全く別の地へ赴き、仕切りなおししたい気分だ。ということで、もうこの時点でロシア語を学ぼうなんて気は失せた。考えることは、如何に問題無くこの国を出られるか、だ。

 しかし、ステラの質問責めは相変わらずで、“カツミ、カツミ(これ、僕の名です)”とひっきりなしに呼ばれる。少し沈黙があれば“なぜ黙ってる?”、車窓を見ていれば“なぜ本を読まない?”等とくる。一体、何をやってれば満足なわけ?ウザッタイので少しほっておいたら御機嫌ナナメに。しかし、彼女にモスクワ市内を案内してもらえればという期待もあり、関係修復のため、ロシア語の先生にもらったロシアのダンス・ミュージックのテープを聴かせる。と、途端に嬉しそうに聞き出し、テレコに耳をくっつけたまま、でかい声で喋る。万国共通で女の子の扱いは大変ですね。

 夕方頃、車窓を眺めてボーっとしていると、隣の部屋の太ったおばちゃんが英語で話しかけてきた。そこへ、あの露出度高めのイケイケお姉さんオリガも興味深げに加わる。おばちゃん、オリガの母だったのである。ウラジオ在住の、祖父、祖母、父、母、娘二人、猫2匹の家族(左画像:左から二人目がイケイケ・オリガ)で、キーロフ近くのチェレ何とかというとこへ引越らしい。で、どういうわけか、いきなり、その家族と共にヴォトカを飲むことになり、部屋へ招かれる。何だかよくわかんない缶詰がいっぱい開けられ、魚やら何やらも並び、猫の臭いも相俟ってすごい香り。なかなかに強烈な一家である。おっかさんは、またも35歳(画像左端、見えない!)で医師の免許を持ってるとか。ルースキーにありがちなメッシュをまとったマッチョで寡黙な夫は無職らしい。祖父はエンジニアだそうで、やたらに人がいい。そのカミさんもやはりごつい。夫婦は再婚らしく、オリガは夫の連れ子でまだ18歳!、もう一人の娘15歳のナスチャは妻の子らしくソックリ。コカコーラのボトルに入ったヴォトカを注がれ、一同と共に乾杯。飲み干すと、よくわかんない肉の缶詰やら何やらを薦められる。横では、オリガが缶詰の魚やらコーンやらバクバク食って、時折、“ウッヒャッヒャッヒャ”という笑いを爆発させる。ここでも例によって質問責めで、やはり出るのは“なぜ結婚しない?”である。“いやぁ、したくても相手がですねえ・・”と言うと“ルースカヤ(ロシア女性)は好きか?”と言うので“好き、好き”と言うと、おばちゃん、“モスクワへ行くのはやめて一緒に来ないか?”などと言い出す。まさか、僕とイケイケ・オリガをくっつける気(満更でもなかったり)?明日から部屋もこっちへ移れなどという。どこまで本気なのか冗談なのかわらんが、ともあれ、調子を合わせてグラスを重ねること5杯。デジカメが大受けで、写真をとりまくらされる。そうこうするうち、まわってきましたですわい。意外に強制はされず、泥酔手前で部屋を辞す。後はベッドで爆睡一直線。

 明け方、ステラが何やら喚く声で目が覚める。“夜中にクライング・・”とか言ってたのはこれのことか。ヴィクトールが優しくなだめる、男ですなあ。ついでにトイレに行くべくベッドから降りると、ステラ嬢、毛布はだけて下着姿のアラレもないカッコで寝てましたですなあ。イヤ〜、シベリア鉄道の旅、濃いです・・・
本日の出費:ジャガイモ15R ビール17R ピザ15R チキン25R 計72R

→ シベリア鉄道の旅続き、そしてモスクワへ 

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